2018年に出題された学科試験と実技試験の解説を行います。
・平成30年の問題は、48問の出題(4択:46問×2点=92点、正誤:8問×1点=8点、合計100点)であり、例年と同じ。
・出題内容の内訳は、以下の表の通り。再開発法が約4割、都市計画法・建築基準法が約2割、その他関連法が4割となりました。
Ⅰ)再開発法 | 20問(第一章1問、第二章10問、第三章9問) |
Ⅱ)都市計画法・建築基準法 | 11問(都市計画法6問・建築基準法5問) |
Ⅲ)その他関連法 ①事業法系 ②民法系 ③まちづくり系 ④税制・評価・融資 |
17問 ①3問(土地区画整理法・防災街区・マンション円滑化) ②5問(借地借家・区分所有・登記・民法・証券化) ③5問(道路・大店法・中活法・都市再生特別措置法・国家戦略) ④4問(不動産税制・再開発税制・不動産評価・まちづくり融資) |
・難易度レベルについて
再開発スクールでは、本試験当日に解答予想を行い61名から回答を得ました。そのデータを基に当日の正答率から問題の難易度レベルをAからCまで判定しました。その結果、80%以上が正答したレベルAの問題は3問のみとなりました。正答率51%〜79%のレベルBの問題は36問となり、全体の約3分の2となっています。正答率が50%以下のレベルCの問題は、15問となっていました。
難易度レベルA(正答率80%以上) |
3問 |
難易度レベルB(正答率51%〜79%) | 36問 |
難易度レベルC(正答率50%以下) | 15問 |
4択問題46問+正誤問題8問 | 計54問 |
・平成30年の学科試験では、以下の特徴があった。
その1「複数の条文から判断させる問題」
「道路」に関する出題では、道路法だけでなく建築基準法や都市計画法の道路に関する知識も問われ、総合的な判断が求められた。
その2「条文の文言を一部変更し、判断させる問題」
再開発法の用語の定義に関する出題では、「所有」という文言を「利用」に変えて出題された。間違いを発見しにくい出題だった。
・実技試験は全5題(合計100点)が出題され、各問題の配点及び時間配分は以下の通り。
No | 分野 | 内容(赤字は初出題項目) |
配点 (時間配分) |
1 | 年度別資金計画 |
・6年の資金計画 ・公共施設管理者負担金(全額補助対象とする)の計算 ・従前建物の計算(現価率の計算) ・補助対象金額の端数処理(3で割り切れる整数) ・97条補償の全額補助対象 |
35点 (65分)
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2 | 権利変換計画 |
・従前資産の計算 ・借家権の評価 ・床原価及び床単価の計算 ・権利変換モデルの計算(床面積・共用部分の共有持分、 敷地の共有持分) |
25点 (55分) |
3 |
マンション建替え
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・区分所有法における建て替え決議の流れ及び知識 ・新マンションの還元率の計算 ・新マンションの模式図 |
15点 (25分) |
4 |
市街地再開発事業 のスケジュール |
・再開発法における事業の流れ及び知識 ・各手続きにおける必要図書の知識 ・各手続きにおける組織活動等 |
15点 (20分) |
5 |
明渡しの法的手続き |
・再開発法における明渡しの流れ及び知識 ・権利者との協議が成立しない場合の法的措置 (供託、収容員会等)の知識 |
10点 (15分) |
No | 分野 | 特徴 |
1 | 年度別資金計画 |
・初出題の項目があったが、問題のレベルは過去問と同程度。 ・計算量が多く想定以上に時間が必要な問題。 ・満点ではなく7割〜8割の得点で、別の問題に移る見切りが必要。 |
2 | 権利変換計画 |
・過去問レベルの難易度で、得点源になる問題。
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3 |
マンション建替え | ・過去問レベルの難易度で、得点源になる問題。 |
4 |
市街地再開発事業 のスケジュール |
・市街地再開発事業全体の流れ及び詳細な知識が必要。 ・語句選択であるので、7割〜8割の得点源となる問題。 |
5 |
明渡しの法的手続き |
・明渡しに関する法的知識が必要。 ・記述式のため、用語の正確な知識が求められた。
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2018年までに出題された問題の傾向と2019年に向けた対策です。
・出題範囲は過去10年の間、大きな変化はない。
・問題数は48問、解答時間は120分となっており、時間的には余裕がある試験である。
・法改正があった年の翌年(または翌々年)に出題される。2018年では法改正再開発に関連する主な改正事項は無いため、2019年の学科試験は現行の法律内容で出題される見込み。
・各範囲ごとの傾向と対策を次表に示す。
出題範囲 | 傾向と対策 |
Ⅰ)再開発法 |
(傾向) ・例年、再開発法から約20問前後の問題が出題されている。 ・全体の4割が再開発法からの出題であるため、この範囲を7〜8割得点できることが重要。 (対策) ・再開発法から出題される範囲は第一章、第二章、第三章と大きく3つの章に分けられる。 ・まず、各章ごとの内容を理解し、過去問だけでなく、条文を読み込むようにする。 ・条文を読み込み、条文の内容を理解する。 ・条文を理解した上で、過去問を10年分繰り返し解答する。間違えたところについては、再度条文を読み込む。 ・覚えるというよりは、身につける感覚で再開発法の条文と向き合う。
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Ⅱ)都市計画法・建築基準法 |
(傾向) ・例年、都市計画法から約6問、建築基準法から約5問の問題が出題されている。 ・市街地再開発事業は、都市計画法に位置付けられているため上位計画として都市計画法が出題される。 ・市街地再開発事業の施設建築物のボリュームを検討するためには、建築基準法の基礎知識(建ぺい率、容積率、高さ、日影等)が必要となるため建築基準法から出題される。 ・都市計画法は、1〜2問難易度の高い問題が出題されるが、建築基準法は基本事項が出題される。この範囲で7〜8割を得点したい。 (対策) ・過去10年に出題されている基本事項10〜15項目について内容を理解する。過去問レベルの基礎知識は確実に解答できるようにしておく。 ・宅建士の試験で出題される「法令上の制限」と出題傾向はほぼ同じ。テキスト等も非常に参考になる。 (都市計画法・建築基準法共に) |
Ⅲ)その他関連法 ①事業法系 ②民法系 ③まちづくり系 ④税制・評価・補償 |
(傾向) ・例年、20前後の法令や制度から各1問が出題される。広く浅く出題されるため、全ての法令や制度を満遍なくカバーするのは費やした時間に対しての得点から考えても、非常に厳しい。 ・よって、戦略を立てて得点できる範囲とそれ以外の範囲を分けることが重要。 (対策) ・その他関連法の範囲を以下の通り4つに分類し、前半と後半に分ける。 前半 ①事業法系(土地区画整理法・防災街区・マンション円滑化) ②民法系(借地借家・区分所有・登記・民法) 後半 ③まちづくり系(道路・大店法・中活法・都市再生特別措置法) ④税制・評価・補償(不動産税制・再開発税制・不動産評価・補償基準) ・過去10年に出題されている基本事項5〜8項目について内容を理解する。過去問レベルの基礎知識は確実に解答できるようにしておく。(前半及び後半共に) ・時間に余裕が無い場合は、前半のみ取り組むことも可能。 |
・例年、5題が出題され、解答方法についてはマークシート記入、記述式、図の描写等となっている。
・解答時間は、180分であり時間的な余裕は全く無い。
・各問題に新項目が出題されることがあるが、実技試験であるため知識を問われるというよりは、資金計画及び権利変換の計算力が問われている。
・例年、年度別資金計画、権利変換計画、マンション建替えの3つの分野が主に出題される。
・各問題の傾向と対策を次表に示す。
No | 問題(配点) | 傾向と対策 |
1 |
年度別資金計画 (30点から35点) |
(傾向) ・5〜6年の再開発事業の資金計画を作成する。 ・60分前後で完成する問題が出題されていたが、最近2〜3年は60分では完成しない問題が出題されるようになっている。 (対策) ・過去10年分の問題を3回解答する。(10題×3回=30題) ・60分で解答できる時間感覚を身に付ける。
・本試験当日は、満点ではなく7割〜8割の得点で、別の問題に移る見切りが必要であるが、その前提条件として60分で満点が取れる解答力が必要。 |
2 |
権利変換計画 (25点から40点) |
(傾向) ・問題は計算型、プレゼン型の2つの種類がある。 ・計算型の問題は、再開発事業の権利変換計画を作成するために求められる計算(再開発ビルの床単価、床面積、共用部分の共有持分、敷地の共有持分等)についての演習問題。この計算ができることが、権利変換計画の仕組みを理解するために重要となる。よって、例年繰り返し出題される。 ・プレゼン型は、権利変換計画のルールに沿って各権利者の権利変換の意向をまとめ権利変換モデルを作成する問題となっている。意向に沿った権利変換ができるかどうかも含めて、再開発法の権利変換計画に関する知識が求められる。
(対策) ・計算型については、過去10年分の計算型の問題を繰り返し演習する。特に共用部分の共有持分、敷地の共有持分については計算式も含めて確実に理解する。中途半端な理解のままにしておくと、試験当日、自分の解答に迷ってしまい時間をロスすると共に得点もできないということになってしまう。 ・プレゼン型の問題については、過去問を解いてその背景にある再開発法の条文を確認する。これは学科試験にも直結する内容なので、短時間で得点力を上げる効果の高い演習となる。 |
3 |
マンション建替え (15点) |
(傾向) ・権利変換の手法を使って、マンション建替えができることから建替えに関する問題が出題されている。 ・マンションを建替えるための手法は、全員同意、区分所有法の建替決議など種類がある。どの手法を選択し、マンションの住民に提案することができるかが問われる。 ・建替に関する法規についての知識や事業の流れについての問題が出題される。 ・建替えが成立するための事業計画や新マンションを取得する条件(面積や追加資金)の計算をする問題が出題される。
(対策) ・マンションの建替えの手法について整理する。各手法のメリット・デメリットを理解する。 ・過去10年に出題された問題を解答し、どのような問題が出題されるのかを把握する。 ・最新のマンション建替えに関する政策をチェックする。(主に国土交通省のHPで公表されている内容) |
4 |
スケジュール問題 (15点) |
(傾向) ・再開発法は事業法と呼ばれており、市街地再開発事業の流れを理解することが重要となっている。法的な手続きを確実に進めるために、再開発法の知識が問われる。
(対策) ・市街地再開発事業全体の流れ及びその流れの根拠となる再開発法の条文を確認する。 ・基準となる日(認可日等)や経過する日数(30日後)手続き要する期間(縦覧は2週間、意見書の申し出期間)などを条文から整理する。 ・過去10年分のスケジュールに関する問題を解答する。 |
5 |
再開発及び一般的な開発に関する知識 (10点) |
(傾向) ・市街地再開発事業以外でも2人以上の土地の所有者が共同で事業を行うことがある。事業の方式の違いから再開発事業のメリットを理解する問題となっている。
(対策) ・建物の共同化についてどのような手法があるかを整理をする。 ・市街地再開発事業はその手法の一つであることを理解し、メリット とデメリットを理解しておく。
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再開発スクールでは、2019年再開発プランナー試験の合格対策として、以下の講座を開校します。
過去10年分の問題&解説を一冊のファイルにまとめ、繰り返し学習ができるようにした合格テキストを発売します。
テキスト名 | 分野 | 合格テキスト内容 | 配点 | 発売時期 |
実技Ⅰ | 年度別資金計画 |
1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説 3)演習用マークシート 4)タイムシート |
30〜35点 |
1月7日 (発売中) |
実技Ⅱ | 権利変換計画 |
1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説 3)演習用マークシート |
30〜40点 |
3月 |
実技Ⅲ |
マンション建替え・他 |
1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説 |
15〜30点 | 5月 |
学科Ⅰ |
再開発法
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1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説 3)重要法令集線引き 4)権利変換計画変更手続き一覧
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約45点 |
2月 |
学科Ⅱ |
都市計画法・ 建築基準法 |
1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説
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約20点 |
4月 |
学科Ⅲ |
その他関連法 |
1)合格のポイント 2)H30年〜H21年の問題と解説 |
35点 | 6月 |
合格テキストの発売に合わせて、ライブ講義を行います。
テキスト名 | 分野 | ライブ講義開校日 |
実技Ⅰ | 年度別資金計画 |
1月24日(木)18時から22時 1月30日(水)18時から22時 2月2日(土)8時から12時 2月6日(水)18時から22時 2月9日(土)8時から12時 2月13日(水) |
実技Ⅱ | 権利変換計画 |
3月 |
実技Ⅲ |
マンション建替え・他 | 5月 |
学科Ⅰ |
再開発法
|
2月9日(土)13時から17時 2月16日(土)13時から17時 2月20日(水)18時から22時 2月27日(水)18時から22時 |
学科Ⅱ |
都市計画法・ 建築基準法 |
4月 |
学科Ⅲ |
その他関連法 |
6月 |
直前講義 | 内容 | 会場 |
6月 | 実技・年度別資金計画 | 再開発スクール・他 |
6月 | 学科・再開発法 | 再開発スクール・他 |
7月 | 実技・権利変換計画 | 再開発スクール・他 |
7月 | 学科・再開発法 | 再開発スクール・他 |
8月 | 実技・予想問題 | 再開発スクール・他 |
8月 |
学科・最終確認 |
再開発スクール・他 |
直前講義 | 内容 | 会場 |
5月 | 模擬試験(学科・実技) | 再開発スクール・他 |
6月 | 模擬試験(学科・実技) | 再開発スクール・他 |
7月 | 模擬試験(学科・実技) | 再開発スクール・他 |
8月 | 模擬試験(学科・実技) | 再開発スクール・他 |